マイホームを建てるうえであるとうれしいのが「補助金制度」です。県や市が助成してくれる制度のことで、申請せずに家を建てた場合とでは費用に大きく差が出ます。
地域によって内容は異なり、仙台ではこれから紹介するような補助金制度が設けられています。どんな制度があるのか情報をまとめてみましたので、仙台で住宅購入を検討している方は参考にしてみてください。
費用を抑えて、かしこくマイホームを作りましょう。
熱エネルギーを有効活用する補助金
その名のとおり、熱エネルギーを有効活用するときに利用できる補助金です。「Let’s熱活!補助金(熱エネルギー有効活用支援補助金)」と呼ばれており、主に窓断熱改修・太陽熱利用システム・エネファーム・地中熱利用システムなどが挙げられます。
上限は、どの設備を利用するかによって異なります。たとえば、窓断熱改修なら1棟あたり10万円、エネファームなら13万円(1棟あたり26万円)です。
補助金を利用することでランニングコストに優れた家づくりが可能になるでしょう。
ZEHの取得にかかる補助金
ZEHは、近年注目されているゼロエネルギー住宅を意味します。その際に利用できるのが「ZEH普及促進補助金」です。
取得する際にかかる費用を補助金でまかなうことができ、上限は購入・設備費の1/5(20万円)になります。すべて省エネ対策の設備ばかりなので、地球にも家計にも優しく、はじめての方でも利用しやすいでしょう。
ちなみに、主な設備は太陽光発電システムや蓄電池システムをはじめ、空調・給湯・換気・照明などが挙げられます。照明をLEDにするだけでも省エネ対策に取り組んだことになるため、なにからはじめたらいいか迷っている方は、ぜひLEDを導入してみてください。
ZEHのメリット
一番のメリットは、やはり省エネ性の高さです。ランニングコストが抑えられるのはもちろんのこと、快適な室温を保てたり、非常時に電気を確保できたりなど、さまざまなメリットがあります。
一般的な住宅に比べて優れた面が多いため「(費用が)高いのでは?」と思われがちですが、総合的に見るとそこまで高くないこともわかっています。実際、光熱費削減や補助金制度が受けられるなど、お得なこともたくさんあるでしょう。
県内の木材を一定以上した場合の補助金
宮城県産の木材を一定以上使用した場合に利用できる補助金です。
仙台市には「木材利用促進支援補助金」「県産材利用サステナブル住宅普及促進事業」の2種類あり、それぞれ目的に応じて選ぶことができます。
木材利用促進支援補助金
この補助金を利用するには、2つの条件をクリアする必要があります。
1つ目は、新築の主要構造部に使用する場合です。市内に新築を建てる・一棟あたり上限25万円・60%以上の木材かつ県産JAS製品or40%以上の優良みやぎ材であることが条件になります。
2つ目は、内装部に使用する場合です。市内に新築を建てるのはもちろんのこと、1棟あたりの上限は15万円、事業にかかる経費は30万円以上でなければいけません。また申請は主要構造部の事業とあわせて行い、県産材は50%以上使用することが条件になります。
県産材利用サステナブル住宅普及促進事業
同じく、県産材を一定以上使用する場合に利用できます。ただこの補助金は、地球温暖化の防止や森林整備の促進などを目的としていることが条件になります。そのため、先ほどの補助金とは違い、ただ県産材を使用すればよいというわけではありません。
また使用する際は、工事を着手する前に申請する必要があります。工事がはじまると補助金は受け取れないので注意してください。
上限は、新築かつ主要構造部または内装部で異なります。前者は県産材を60%以上使用しているJAS製品もしくは40%以上の優良みやぎ材で50万円、後者は県産材を1立方メートル以上かつ50%以上使用していること、そして配備に50%以上使用しており30万円となっています。
二酸化炭素の排出削減に役立つ補助金
家庭から出る二酸化炭素の排出削減を目的とした「スマートエネルギー住宅普及促進事業補助金」です。災害時にはエネルギーを確保できる住まいを普及することも申請の条件になり、設備導入に対して補助金が受け取れます。
たとえば、太陽光発電システムなら4万円、そのほか電池は6万円、エネファームは10万円になります。「みやぎゼロエネルギー住宅」を使用した場合、40万円を受け取ることができます。
申込には、受付期間と基準日が設けられています。一次募集~三次募集まであり、詳細については「宮城県建築住宅センター」の公式ホームページにて確認してみてください。
みやぎゼロエネルギー住宅とは
いわゆる、ZEH住宅です。宮城県では、仙台をはじめ各地域で普及を推進しており、独自の支援を行っています。
ZEH以外にも、断熱性能やエネルギーの自家消費措置を強化するなど、大幅な省エネ効果が期待できます。また環境への負担も小さいのでSDGsにもつながりますし、優れた断熱性は冬でも快適に過ごせるでしょう。
雨水流出抑制施設のための補助金
雨をゆっくり流すための設備(雨水流出抑制施設)を設置する際に受け取れる補助金です。雨水流出抑制施設とは、たとえば雨水浸透ますや雨水貯蓄タンクなどが挙げられます。
この設備を設置することで、万が一市街地化による水害が起きても被害を抑えるでき、さらに貯まった雨水は災害時や水まきにも使用できます。
ただし、依頼する業者によって費用が異なるため、補助金の上限額を超えてしまうと申請者に負担がかかってしまいます。そのため、補助金を受け取る際は住んでいる地域のメーカーに確認してみてください。
生垣を新設したい場合
生垣を作る際に、一部助成してもらえる制度です。家の道路に面した場所に設置する場合に対象となり、見積額の1/2と植栽する木の数に2,500円を乗じた額が相場になります。1,000円未満の端数は切り捨てになるため、詳しい交付額については各区役所街並形成課で相談してみてください。
ちなみに、ブロック塀などを撤去する際は、塀面積1平方メートルあたり上限4,000円が助成されます。
道路に面した住宅はどうしても人どおりが多いため、外から家の中が見えてしまう危険性があります。生垣は、そういったプライバシーを守るための「防犯」として役に立ちます。塀で囲うのもよいですが、せっかくなら生垣で緑に囲まれた心地よい家にしてみましょう。
メンテナンス・維持費なども含めて検討してみてください。
津波で被災した地域が利用できる
津波で被災した地域を対象に、安全な地域へ移転する際に補助されます。今もなお、さまざまな津波防災施設の整備が行われていますが、それでも浸水が予想される地域はまだまだ存在します。
そういった不安から解消するために役立つ補助金として、いくつかの条件をクリアした対象区域に住んでいる方が受け取れます。
条件は、「対象地域」に住んでいること、移転もしくは現地で住宅を再建する方が対象になり、応じた金額が助成されます。また受付期間が決まっているため、終了すると申込みができません。令和5年12月現在は新規受付ができないので注意してください。
補助金の上限は、住居移転が78万円、住宅再建が264万円~444万円となります。再建は、建設する場合と購入する場合で上限が違いますので、事前に確認しておきましょう。
さらに移転し離農などをする場合は、さらに上限が高くなります。
まとめ
仙台で住宅を購入する際に受け取れる補助金について紹介しました。省エネを重視した制度や津波による浸水被害を防ぐための制度など、さまざまな種類の制度が選択できます。ただし新築のみ対象になるため、中古・リノベーションは受け取ることができません。
また県産材を使用した場合、主要構造部と内装部でも1棟あたりの上限が異なるため、事前にきちんと確認しておきましょう。たとえば「木材利用促進支援補助金」は、主要構造部+内装部あわせて申請する必要があります。
マイホームを検討している方は、ぜひ各制度を参考にしてみてください。
代表:長岡 理知(ながおか みちとも)
■プロフィール
2005年よりプルデンシャル生命保険株式会社入社。 大手住宅メーカー専属のFPとして年間200世帯を超える資金相談会を開催。累計相談件数が3000世帯を超える。
2020年に住宅取得専門のファイナンシャルプランナーとして独立。
住宅を購入する際の予算決めと家計分析、リスク対策を専門業務とする。
住宅ローンに関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。