注文住宅は建売住宅よりも高価な傾向があり、またその価格帯が広い点でも特徴的です。一般的には住宅ローンを組んで注文住宅を購入するため、どのくらい予算が必要か気になりますよね。この記事では、注文住宅の予算についての考え方、資金計画の立て方などを紹介。こだわりを残しつつ、予算内で注文住宅を建てるコツも紹介します。
注文住宅を建てるにはどんな費用が必要なのか
注文住宅を購入する際には、いつ・どんな費用が必要になるのか、把握しておきましょう。注文住宅の費用は主に、土地代・建築費・そのほかの諸費用の3つに分けられます。
土地代
土地付きで販売されている注文住宅もありますが、土地と住宅を別々に購入し、建築していく注文住宅もあります。土地は住宅購入予算のうちでも大きな額を占めるのです。
都心や駅近、人気のあるエリアでは土地代だけでも驚くほどの金額となるでしょう。すでに土地を所有している場合には必要ありません。しかし土地に欠陥がある場合は、改良のための費用が必要です。
建築費
建築費とは、住宅を建てるための工事費用です。基礎工事や外装工事、内装、住宅設備工事など、一戸建て本体にかかるすべての工事費用や材料費が含まれます。工事を依頼する業者によって、大きく変化する費用項目でもあります。一般的には、地域密着型の工務店やローコスト住宅専門のハウスメーカーが、建築費を抑えられるでしょう。
また、建築費にはどこまでが含まれるか、事前の確認も重要です。後から追加費用を請求されるトラブルも報告されています。とくに外構費がオプションとして追加されるかどうか、よく確認しておきましょう。
そのほかの諸費用
住宅を所有するにあたっては不動産登記が必要です。不動産登記手続きは複雑なため、ほとんどは司法書士に依頼します。司法書士への依頼報酬だけでも、10万円前後が必要と覚えておきましょう。ほかにも登録免許税や登記事項証明書取得費用、打ち合わせにかかる交通費などが必要です。
予算の決め方・資金計画の立て方とは
マイホームは高価な買い物のため、予算や返済計画などの資金面をよく考えておきましょう。
予算の決め方は頭金から
注文住宅を購入する際には、予算が重要です。しかし予算はどうやって計算すればよいのでしょうか。マイホームは高価な買い物のため、住宅ローンを組む家庭がほとんどです。しかし返済期間や総支払額などを考慮しても、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。
注文住宅購入の予算は、用意できる頭金から計算して決めるとよいでしょう。頭金とは、住宅ローンを利用して住宅を購入する際、最初に自己資金から支払うお金のことです。一般的には、住宅購入額の20%以上が目安といわれています。少なくとも10%は用意しておきましょう。たとえば頭金を500万円用意できるのであれば、2,500万円~4,000万円の注文住宅が購入できる計算です。
賢い資金計画の立て方
住宅ローンの面から、資金計画を考えてみましょう。住宅ローンの返済にかけられる年数は、年齢や職業によって異なります。基本的には、定年までに完済できるような返済期間が理想。
そもそも住宅ローンの最長返済期間は35年ですが、返済期間が長くなればなるほど、総返済額は増えます。かといって、返済期間を極端に短くすると、毎月の返済額が多くなるため生活を苦しめるかもしれません。
最適な返済計画は、金融機関やハウスメーカーなどでも相談できます。ファイナンシャルプランナーにシミュレーションしてもらうのもおすすめです。
無駄なコストを削ってこだわりの注文住宅を建てよう!
限りある予算の中で、家族のこだわりが詰まった理想の家にするには、無駄なコストを削減しなくてはいけません。削減しやすいコストとしては、次のようなものが考えられます。
もっとも削りやすいのは、設備や仕様です。グレードダウンするだけで、簡単にコストを削減できます。とくに水回りの設備は、大きな費用がかかります。広い浴槽やおしゃれなキッチンに憧れる人も多いですが、予算と相談しながら決めましょう。
また、水回りを1か所に集中させると、工事費用を抑えられます。なぜなら、配管工事がシンプルで手間がかからず、また配管に必要なパイプの長さや本数も減らせるからです。キッチン、トイレ、洗面所やお風呂などを、なるべく近くに配置しましょう。
壁が少ない間取りも、コスト削減には大きな効果があります。部屋数を減らしてシンプルな間取りにすると、広々とした開放感も得られます。住宅の形状も同様です。正方形や長方形など、凹凸の少ないシンプルな形状にすると、工事に手間がかからないためコスト削減につながるでしょう。
ほかにも造り付け家具のオーダーを諦め、市販の家具を置いて設置するのも、コスト削減に効果的です。
まとめ
注文住宅の予算をどうやって計算すればよいのか、頭金と住宅ローンの両面から解説しました。すぐに用意できる頭金から計算する方法と、返済期間や毎月の返済可能額から、総購入額を計算する方法、2つがあります。どちらにしても、無理なく返済できる金額を計算し、余裕ある返済計画を立てるべきです。無駄なコストは可能な限り削減し、家族の夢やこだわりの詰まった、憧れの注文住宅を建てましょう。
代表:長岡 理知(ながおか みちとも)
■プロフィール
2005年よりプルデンシャル生命保険株式会社入社。 大手住宅メーカー専属のFPとして年間200世帯を超える資金相談会を開催。累計相談件数が3000世帯を超える。
2020年に住宅取得専門のファイナンシャルプランナーとして独立。
住宅を購入する際の予算決めと家計分析、リスク対策を専門業務とする。
住宅ローンに関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。